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【獣医師監修】新居で猫を飼いたい!人と猫が快適に暮らせる住まいづくりのポイント #ペットと暮らす

Contents

理想の住まいをつくりませんか? きづき屋に相談する

新居ではペットを迎え入れたい、リノベーションで今飼っているペットがもっと快適に暮らせるようにしたいと、考えている人もいるのではないでしょうか。

ペットは大切な家族。人と同じように快適な環境で暮らせるように、怪我や病気に配慮することはもちろん、それぞれの習性や行動を理解した上で空間づくりをしたいですよね。

そこで今回は、現在2匹の猫と一緒に暮らしておられる、みらい動物病院(滋賀県大津市)の小野院長にお話を伺いました。2024年春にフルリノベーションしたご自宅には、人と猫が暮らしやすいポイントがたくさん。動物の専門家として、また猫と暮らす飼い主として、両方の視点からお話いただきました。

【今回のお話を伺ったのは……】

みらい動物病院 院長 小野 匡さん

人と動物が互いに気持ち良く共生できる地域社会を作る場所として、病気の治療・予防だけでなく、ペットが日々健康に暮らせるための食事指導やしつけ・マナー、お手入れ方法、動物を通じての子ども教育などにも力を入れていらっしゃいます。

ストレスに注意!猫が快適に暮らせる住まいづくりのポイント

2匹の猫ちゃんと暮らす小野院長

自由でマイペース、ちょっぴり気ままなイメージのある猫ですが、小野院長によると猫はすごくストレスに弱い動物なのだそう。

人生のほとんどを室内で過ごす猫たちにとって、住まいの環境はとても重要。また、ケガ・病気を予防する観点から、猫の習性を十分理解した上で、人と猫の両方が快適に暮らせる家づくりが大切です。

まず気をつけたいのは、室内の温度管理

猫との暮らしで、まず気をつけたいのが室内の温度。実は私たち人間が涼しいと思う温度は、温かい場所を好む猫にとっては寒すぎるそうです。

「猫はもともと砂漠地帯で生きていたので、暑さには比較的強いのですが、寒さにはすごく弱い動物です。寒い場所で過ごしているとすごくストレスがかかるので、室内の温度には気をつけてあげないといけません」

小野院長と暮らすキジトラのみらいちゃん。「みらい動物病院」の名前の由来になった猫ちゃんだそう。

特に気をつけたいのが、夏場のエアコン。部屋じゅうをガンガン冷やしたり、冷風が直接当たる場所に猫のスペースを置くとは体への負担が大きいので、暖かい場所にスペースを作ってあげたり、高いところに登れるようにしたり別室に行くことができるようにするなど、寒さを回避できるような工夫があるといいそうです。

「日が当たる暖かい場所や窓の前にお昼寝ベッドを置いて、日向ぼっこができるようにしたり、外気にあたることができるようにしてあげると、快適に過ごすことができると思います」

縦の動きを意識した運動スペース

人生のほとんどを室内で過ごす猫たち。運動不足にならないよう運動できるスペースを確保してあげるといいそうです。

「猫は行動範囲が広いように思えて、実際はそう広くもないんです。野良猫でも半径数十メートルぐらいなので、室内で飼っている猫ちゃんが不満を感じているかといえばそうでもありません。ただ、運動できるスペースを作ってあげることは大切です。必要なのは縦の動き。部屋の広さではなく、登ったりジャンプできたりといった縦の動きができるよう高さを意識してあげてください」

天井まであるキャットタワーを用意してあげたり、家づくりをする際にキャットウォークを取り入れるなども一つの方法です。

自分だけの落ち着ける場所を確保してあげる

猫は単独行動を好む動物なので、リビングの広い場所で家族と一緒に過ごす場所以外にも、自分だけのリラックスできる場所や、何かあったときには逃げたり隠れたりできる場所を作ってあげるといいそうです。

「うちも小さい子どもが2人いるので、どうしても大きな声をだしたり猫を追いかけてしまうこともあります。そんなとき、キャットタワーの上やクローゼットの奥など、隠れられる場所があると、怖いものは来ない、敵は入ってこない、と認識できるので猫が安心して過ごすことができます」

ストレスに弱い猫たち。ストレス解消の代表的なものは爪研ぎや床をゴロゴロ転がったりする行動ですが、強いストレスを感じると病気になったり問題行動となって現れることもあるそう。

「毛がなくなるまで自分の体を舐め続けたり、噛んで毛をむしり取ったりといった自傷にエスカレートすることがあります。また、『転嫁(行動)』といって、ストレスから興奮状態になり攻撃的になる場合も。こうした行動は、多頭飼育の猫に見られることが多いですね。多頭飼育は相性がとても重要なので、2匹以上で飼育をする際は相性をよく見極めてあげることが大切です」

人と猫が快適に暮らせる家づくりのポイント

小野院長宅で暮らすもう1匹の猫ちゃんは、茶トラのチャーミーちゃん。

せっかくのお家が汚れたり傷がついていると、私たち人間もすごくストレスに感じますよね。人とペット、両方が快適に暮らす家づくりのポイントはお互いにとってストレスがないことです。

滑りにくい床や傷に強い壁紙などを取り入れる

「以前は猫が爪を研いでしまって家中の壁紙がボロボロになっていたので、自宅に友人も呼べないし、日々ストレスを感じていました。リノベーションの際に提案してもらった傷に強い壁紙は、数ヶ月経った今も爪研ぎの被害がありません」

リノベーション後の小野院長宅のリビングダイニング。

小野院長がご自宅をリノベーションされる際、取り入れたのが傷に強い壁紙。一般的な壁紙はペットの爪や家具がぶつかった際など細く鋭いものが当たるとすぐに傷がついてしまいますが、傷に強い壁紙は表面がコーティングされているので猫の爪が引っかかりにくく傷になりにくいのが特徴です。

「ペット全般に言えることですが、床が滑りやすいのは良くありません。膝が弱い子、股関節が悪い子も多いので、カーペットやクッションフロアを敷いたり、家づくりをしている方は滑りにくい床を検討されるのもいいかもしれません」

猫は綺麗好き。トイレの周りの清潔も大切

小野院長のご自宅には、リビングダイニングの脇に猫専用のスペースが設けられています。スペースの上部には小型の換気扇が取り付けてあり、ダクトを通ってニオイが外に排出される仕組みになっています。

猫専用スペースの奥には小型の換気扇が取り付けてあり、ダクトを通してニオイが外に排出されるので不快感を軽減。

「猫はとてもきれい好きです。トイレが汚れていたりその周辺に臭いがこもっていたりするとトイレを使いたがらなくなって、トイレ以外でおしっこをするようになったりします。

猫のトイレは常に清潔に保ち、換気のいい場所にトイレスペースを作ってあげると猫にとっても快適ですし、ニオイがなく清潔なのは人にとってもいいことです」

脱走防止対策は万全に

ペットを飼う以上、必ず行うべきは脱走対策。猫はとても器用なので、窓や網戸を自分で開けたり、ドアノブを押して扉を開けてしまう子もいます。マンションのバルコニーの場合、壁で向こう側が見えないため、ポンとジャンプしてそのまま向こう側に落ちてしまうといったことも少なくありません。

転落の心配がない低階層や戸建てのお家であっても、道路に飛び出て事故に遭う恐れも。

「脱走対策は、扉は開けっぱなしにしない、窓を閉めたら必ず鍵もかけるなど戸締りの徹底しかありません。うちの場合、玄関が1階で猫は2階で過ごしています。玄関付近に猫が入ってくるときもありますが、玄関周りに猫がいるときは絶対に玄関を開けないようにしたり、リビングの扉を閉めて猫がいないことを確認してからしか玄関を開けないなど、家族のルールにしています」

万が一脱走し無事帰ってきたとしても、他の猫に接触して感染症にかかったり、喧嘩をして猫エイズや猫白血病に感染したりといった恐れもあるそうです。

「あと、やはり去勢・避妊は大切ですね。メスの猫が脱走して帰ってきたら妊娠していた、なんていうこともあります。ずっと室内にいると窓やベランダから外に出たがる子は多いと思います。脱走対策は、物理的な構造はもちろんあるけれど、やっぱり飼ってる側の意識が一番ですね」

マイクロチップ

どれだけ気をつけていても、脱走をしてしまうことはあります。そんなときのために、マイクロチップを入れておくことも猫の安全を守る方法として有効だといいます。

マイクロチップとは、個体識別情報が入った米粒大の小さなチップのこと。体に優しい素材で、外科的手術も必要ありません。猫の体内に入れておくことで、迷子になったり地震などの自然災害によってペットと離れ離れになったときなど、マイクロチップ内の情報が飼いい主を探す大きな手掛かりになります。

京都市や大津市では迷子になったペットが愛護センターなどに保護されると必ずマイクロチップが入っているかを確認されます。野良猫と間違えらえて捕獲されてたとしても、マイクロチップで飼い主の情報がわかるので、安全にお家に帰ることができる確率が高くなります」

アロマや芳香剤には気をつけて

生活雑貨のお店や100円均一ショップでも手頃な価格で手に入るアロマオイル。ですが、猫にとってアロマオイルに含まれる精油(エッセンシャルオイル)は非常に有害です。

「猫にとって精油(エッセンシャルオイル)は絶対に良くありません。猫は体内で精油の成分を肝臓で分解することができないので、中毒がおきて、ひどい場合は命に関わることもあります。過去には、アロマオイルを使用してから体調が悪くなったと来院された患者様もいました。精油そのものが猫にとっては毒なので、猫を飼われているご家庭では一切使用されない方がいいと思います」

ルームフレグランスや香水、柔軟剤などに精油が使われている場合もあるので、成分を十分チェックしてください。

2匹以上飼うなら?多頭飼育時の注意点

家づくりを機に、多頭飼育を考えている人もいるでしょう。2匹以上の猫と暮らす場合、どのようなポイントに気をつければいいのでしょうか。

多頭飼育に向いてない子の方が多い

猫が何匹も一緒になって寝ている写真を見ると、多頭飼育にも憧れますよね。でも先述のように、猫は単独行動を好む動物。多頭飼育によって大きなストレスを感じてしまうこともあります。

「多頭飼育に向いていない性格の子の方が多いですが、こればかりは正直、その子の性格によります。ひとりが好きな子もいれば、追いかけっこをしたり一緒に寝たりして他の猫と一緒にいるのを好む子も。また、一緒に暮らす子同士の相性も大きく関係しますので、お互いの相性を十分に確かめてあげてください」

トイレの数は、猫+1

猫にとってトイレはプライベートなスペースのひとつ。トイレの形や砂の形状など猫によって好みがあり、それぞれに合わせて快適なトイレの環境を整えてあげるといいそうです。

「砂の種類や大き、硬さにこだわりがある子も多いですね。例えばうちでは屋根付きのトイレを使っていますが、猫のなかにはこの形が嫌でトイレをしない子もいます。反対に全然気にしない子もいるのでその子その子によって本当に違います。『トイレは猫の数+1』なんてよく言われますが、その子に合った環境を用意してあげればよりストレスを減らすことができます」

「共通して言えるのは、トイレを置く場所は静かなところ」と、小野院長。人間でも騒がしく落ち着かない場所にトイレがあると嫌ですよね。それは猫も一緒のようです。

人も猫も、お互いに快適な環境作りが大切

みらい動物病院では、病気の治療・予防だけでなく、ペットが日々健康に暮らせるための指導やアドバイスを積極的に行っていらっしゃるほか、トリミングサロンも併設しておられます。

日々の健康管理と快適な環境づくりが、人とペットがどちらも快適に暮らせるポイントですね。

みらい動物病院HP
〒520-0004 滋賀県大津市見世1丁目11-26

YOieを運営する「クリエイティブ不動産 きづき屋」では、中古マンションの物件選びからプランニング、施工まで、一貫したリノベーション工事を手がけ、お客様のライフスタイルに合わせた自分らし暮らしをご提案しています。

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YOie編集部

執筆 YOie編集部

「デザイン思考」で家づくりをする、きづき屋のメンバーたち。クリエイティブな視点で独自のお部屋づくりのお手伝いをいたします。

浅井一樹

監修 浅井一樹

クリエイティブ不動産 きづき屋 代表取締役
「不動産業界をもっとクリエイティブに」をコンセプトに、物件選びからプランニング、施工まで、一貫したリノベーション工事を手がけています。狭い物件や制限のある物件でも、視点を変え、物件が持っている可能性に “気付き“、価値のあるものへと変えていくことを得意とし、つい友達に話したくなるような、住む人の想いが詰まった家づくりで、楽しみながら暮らす人を増やすことを目指しています。